第56章 水原寧々が彼のために心配する

水原寧々は家に座っていられるわけがなく、電話で焦りながら言った。「交番に知り合いとかいない?」

「それが本当にいないのよ、寧々ちゃん、安心して……」佐藤幸子は水原寧々が藤原修一の身分を知らないこと、そして今彼が警察に連れて行かれて水原寧々が心配しているに違いないことを考えた。「こうしましょう、まずは家に帰って。私が電話をかけて、交番に詳しい人がいないか聞いてみるから」

佐藤幸子がそうしたのは、ただ水原寧々を引き止めるためで、彼女が心配しないようにするためだった。

「わかった、早く電話して聞いてみて。連絡待ってるから」

水原寧々は電話を切ると、藤原修一が心配で、車を運転して交番へ向かっ...

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